2023.01.14東山動物園

日記

猫につつかれて起きる。まだ5時前だ。昨晩はすこしだけ寝るのが遅かったのだけれど眠たくはない。布団から抜け出して下階におり、猫に朝ごはんを出してやる。今日はきっとたくさん運転することになるだろうと思ったので、もう一度布団に帰って目をつむり眠ろうと努めた。けれどもちっとも眠くはならず、けっきょく天井とにらめっこしながら朝日が昇ってくるのを待っていた。今日はきっといい日になる。階段の先の暗闇からカリッ…カリッ…と猫が餌をかみ砕く音が聞こえてくる。Mは隣で静かに寝息を立てている。今日は動物園に行く日だ。はっ、と気が付くとあたりはもう明るくなっていた。6時半に起きるつもりが、時計を見るともう7時15分を指している。自分では眠たくないつもりだったけれど、いつの間にか寝ていたらしい。隣で寝ているMをつついて起こした。寝坊したので朝食はご飯に目玉焼きをのっけただけの軽いものにした。「野菜が食べたい…」とMが言うので、玉ねぎをスライスして即席の胡麻ドレッシングをかけて、オニオンサラダを作ってみたのだけれど、水にさらす時間が短かったからか、辛くてあまり食べられなかった。今思えば少しでも炒めればよかった。けっきょく全部は食べ切れず、冷蔵庫にしまっておくことにした。着替えて歯を磨き、車に乗り込んた。高速は使わずに下道で約2時間の道のりだ。少し霧が出て、小雨が降っていた。午後には止んでくもりになる予定だったけれど、さて、どうなるだろう。国道沿いのコンビニに寄ってMはお気に入りのリンゴ味の飴玉を買い、僕はあったかいコーヒーを買った。おいしそうなパッケージのコーヒーだなと思って選んだのだけれど、車の運転席に戻った後でMに「それ前に飲んでて美味しくないからもう買わない、って言ってたよ」と言われた。完全に忘れていたのだけれど、言われたらなんとなくそんなこともあったような気がしてきた。一口飲んでみて「美味しくないからもう買わない」と僕は思った。けれど、それを口に出して言ってしまうと残りの全部をそういう気持ちでしか飲めなくなってしまう気がしたので、「まぁ、悪くない、悪くないと」と呟きながらながら飲んだ。実際、それほど悪くないと感じた。もう買わないけど。Mの運転で国道19号線をひたすら進み、愛知県に入る。道路わきの温度計が10℃と表示していた。ここ最近にしてはかなり暖かい。途中でコンビニに寄ってMと運転を代わった。しばらくして国道から外れ、進んでいくとどんどん都市的な景観に変わっていった。片側に3車線もある道なんて、ほとんど運転したことないので緊張した。一番左側の車線を走っていたのだけれど、路上駐車の車があったり工事で車線制限があったりしてハラハラしながら走った。周りの車の運転も何だかアグレッシブなように感じた。それでもめげずに進んで、最後の信号機を曲がってもう動物園はすぐそこだぞ。と思っていたらなんと駐車場を通りすぎてしまい、ぐるりともう一周回ってきた。最後の信号(2回目)を曲がって今度はちゃんと駐車場に車を停め、僕はほっと溜息を着く。そして着いた、東山動植物園だ。チケットを買って中に入る。雨が降っているからか、客ははまばらのようだった。まずは全体のマップを確認する。かなり広そうだ。最初に見たのはサイだった。グレーの鎧を着たような生き物が柵の奥のほうでこちらにお尻を向けてむしゃむしゃ草を食べていた。その姿をパシャリと写真に収める。本日1枚目の写真「サイのおしり」だ。横のほうに回り込んでみたけれど、顔はあまりよく見えなかった。歩き進める。ゾウの置物があり、そのもう少し先に本物のゾウがいた。雨が降っていてテンションが上がっているのか、3頭のゾウが柵の中を走り回ったり雨でできた水たまりの水を噴き上げたり、泥んこのなかにダイヴインしたりして遊んでいた。こんなに活発に動いているゾウは初めて見た。けっこう長いこと見て、先に進む。ライオンがいた。雨の中を横たわって寝ていた。たてがみもびちょびちょに濡れている。手前のガラスに近いところでオスが、奥の方ではメスが横たわっている。どちらも大きな猫のようだ。レッサーパンダ、しっぽがフワフワ。マレークマ、動きがしなやか。キリンは雨でテン下げ。2頭のアシカがプールの中で喧嘩している。そういう様子を観察しながら、パシャパシャ写真を撮って進む。オウサマペンギンが上を向いて吼えている。アザラシは悠々自適の泳ぎ、コアラはやっぱりいつまでも木の上で眠っていた。もうすぐコアラのエサの時間らしく、大きな望遠レンズのついたカメラを抱えた人たちが動くコアラの姿を撮影しようとその時を待っていた。コビトカバ、サイ、カバ、かわいい。ヒグマはこわい。フードコートでハンバーガーを食べた。霊長類のコーナー。外の檻の中にいた、ワオキツネザルはちょこまかと動き回り、名前を忘れたサルは二匹寄り添って尻尾を絡ませていた。室内にいたサルは陰鬱な感じで鴨井玲の絵のようだった。マンドリルのお尻は赤紫で、もう一種類名前を忘れたサルのしっぽは筆のようだった。もう一度カバ、さっきは水中にいて大きさがわからなかったけれど、今度は陸に上がって草をむしゃむしゃやっている。かなりでかい。クロサイも外に出てきている。サイとカバはどっちがでかいのだろう。もう一度コビトカバを見る。アメリカパイソンもご飯を食べている。ビーバーは立ったまま眠っていた。遠くで遊園地の乗り物の音が聞こえる。係員が何人も集まって乗り物の点検をしていた。ゴリラ、アリクイ、リクガメ、オオサンショウウオ、ワシ、ツル、カラス――。いくつかの動物を見逃したけれど、だいたいは見て、歩き疲れたし満足したので、最後に売店で「どうぶつパン」を食べてから帰ることにした。僕はカメのメロンパン、Mはカワウソのチョコパンにした。カメの目の部分はチョコペンで描かれていたのだけれど、食べようと口に近づけたとたん、ポロリ片方の目玉が地面に落っこちてしまった。もう一口、と思って反対側の目を食べようとしたら、こちらも口に入れる直前でポロリと落ちてしまったらしい。それを見てMは大笑いする。2口目の方は僕は落っこちたのに気が付かず、あれ、チョコの味しないな、と思っていたらそういうことだったのか。パクパクと食べ、園を後にする。そういえばいつの間にか雨はやみ、お客さんも増えているみたいだった。来た時にはがらがらに空いていた駐車場が9割がた埋まっていた。帰りも下道で帰った。Mは雨で靴がびちょびちょになっていたので裸足になっていた。途中、スーパーに寄って買い物をしたのだけれど、普段と違う商品配置、システムに二人で戸惑いアタフタした。無事に帰宅して、米を炊いているあいだに風呂に入り、あがってから肉野菜炒め定食を作った。食後に撮影した写真を見直していた。数えると525枚も撮っていたらしい。眺めていると新しい絵のシリーズのイメージも湧いてきた。これからしばらくのあいだ、動物たちの絵に取り組んでいくことになると思う。一日中留守にしていたから猫がさみしがってすり寄ってくる。今日見た中で一番かわいい動物がそこにいた。

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