#18.おわりに| ZINE作家による ZINE作家のための 製本術

 いかがでしたか。

 2021年に最初のZINEを作ってから、早いものでもう5年ほどの時間が流れました。いまも僕は、製本の専門家ではありません。製本の素人である僕が、なぜこのような本を作ったのかについては、本書の冒頭で書いた通りです。

 ただ、この本を書き進めるうちに、当初ははっきりと意識していなかった、もう一つの考えが浮かび上がってきました。それは、この本は僕にとって、単なる技法書ではなく、思想の本でもあるのではないか、ということです。

 というよりも、技法やハウツーの中にこそ、その人の根幹にある考え方が、もっとも自然な形で表れるのではないか。書きながら、僕はそんなふうに考えるようになりました。何をどう考えているかを言葉で説明するよりも、何を、どんな手順で、どのように行うのか。その具体的なやり方の中に、その人なりの価値観や美意識、物事の捉え方が、知らず知らずのうちに表れてしまうように思います。

 思い返してみれば、僕はずっと以前から、料理の本や物の作り方が淡々と書かれた本が好きでした。いわゆるハウツー本と呼ばれるそれらは、ときに軽く見られることもありますが、今の僕には、そこにこそ書き手の考え方がもっとも率直な形で刻み込まれているように思えます。

 ZINE制作にも、どこか似た側面があるのではないでしょうか。文章を公開するだけであれば、いまはネット上でいくらでもできます。それでも、わざわざ印刷し、本という形にし、さらにそれを手で作る。その行為そのものに意味を見出しているという点で、ZINEはすでに思想的な営みなのだと思います。ZINEを手で作るということは、単なる物理的な作業ではなく、その人がどんな速度で、どんな距離感で、どんな態度で世界と関わろうとしているのかを、自然に反映してしまう行為なのではないかと、僕は感じています。

 今回この本を書くにあたって、僕は、製本のプロには書けないこと、そして素人だからこそ書けることを、自分なりの語り口で書こうとしてきまし

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[ ZINE作家によるZINE作家のための製本術・目次]

はじめに

lesson1:おりがみ本:とりあえず1冊作ってみよう!

 おまけ①:YとかTとか・・・「流れ目」って何?

 製本に使う道具たち①

lesson2:スクラム製本:基本の「面付け」を学ぼう!

 中綴じ製本と無線綴じ製本

 製本に使う道具たち②

 おまけ②:「枚、面、ページ」

 本の各部の名称

lesson3:「ホチキス本」をつくろう!

 製本に使う道具と材料①

 おまけ③:手製本で作るメリットデメリット

lesson4:「かんたん糸とじ本」

 おまけ④:生ボンドと糊ボンド

 製本に使う道具と材料②

lesson5:「かんたん糸とじ本」をハードカバーにしてみよう

lesson6:分厚いハードカバー本を作ろう!

おわりに
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