さて、ここまで割と薄い本の作り方を紹介してきました。最後に分厚いハードカバーの本の作り方を紹介したいと思います。ここまで紹介してきた製本のやり方では、作れる本の厚さに限界があります。使用する材料や道具が少し多く、作業工程も多いですが、ページ数の多い本を作ってみたい方は、ぜひ、この製本にチャレンジしてみてください。
寸法の出し方や、外側パーツの作り方はlesson5と全く同じなので、今回は、面付けの仕方と本文束の作り方を中心に解説していきたいと思います。参考作品は、今、あなたが手にしているこの本です。この本がどんな風に作られているのかをイメージしながら読んでもらえたら嬉しいです。

仕上サイズ : 218×157×12mm
ページ数 : 68ページ
【材料と道具】
◆本文用紙 :モンテルキア81.5 kg , 210×297mm×17枚
◆見返し :NTラシャ<100> , 210×297mm×2枚
◆表紙:TMKポスター紙 , 特厚口 , 256×361mm
◆板紙(表紙・裏表紙):216×146mm×4枚
◆板紙(背):216×10mm×2枚
◆クラフト紙(背紙):200×7mm×1枚
◆寒冷紗:200×50mm×1枚
◆カッターナイフ、カッターマット
◆生ボンド(木工用ボンド)
◆フエキ糊
◆平筆
◆竹串
◆乾燥用の重し
◆クッキングシート
【面付け】
本書の最初の方で、スクラム製本というのをやったのを覚えていますか?そこで、面付けのやり方について解説したときに、図のような面付けの仕方を試しました。(p15)これでスクラム製本をすると、ページの順番がめちゃくちゃになってしまった、例のあれです。今回の製本では、その面付けをしていきます。逆にこれまで正しいとしていた方法で面付けしてしまうと、ページの順番がめちゃくちゃになってしまうので注意してください。今回は下図の右側です!

なぜ、そんなことが起きるのかというと、それは紙同士の重ね方が異なるからです。これまでやってきた製本では下の図の左のように紙は重なっていました。しかし、今回は右の図のように紙を重ねていきます。

分厚い本を作る場合、これまでと同じように紙を重ねてしまうと、ホチキスの針が届かなかったり、糸で綴じるにしても一番外側の紙と内側の紙とでかなりサイズが変わってしまったり、本が開く力が強くなりすぎて、本の形を保てなかったりします。極端に描くと左の図のようになってしまいます。

そこで、紙の重ね方を右の図のようにします。
そうすることで、中綴じ製本と比べるとずっと多くの紙を重ねられるということが分かると思います。
とはいえ、無制限に紙を重ねていける訳ではありません。細かく見ていくと、紙を折っている部分で少しだけ紙が分厚くなるので何百枚も重ねると、背の方が分厚く、小口の方が薄くなってしまいます。そのような厚みの差を解消する製本の方法として、丸背上製本というのがあるのですが、本書では省略します。
【寸法を決める】
◆本文束
本書の本文はモンテルキア81.5kgのA4判を二つ折りにして使用しています。なので、サイズは天地210mm、幅148.5mmです。厚みは印刷後に測定したところ、6mmでした。
この寸法を基準にして他のパーツの寸法を計算していきます。
◆板紙(表紙・裏表紙)の寸法の計算式は
天地=本文の天地+上部チリ3mm+下部チリ3mm
幅 =本文の幅-溝9mm+背表紙の板紙の厚み+チリ3mm+あそび2mm
です。なので今回の数値を代入すると、
天地=210+3+3=216mm
幅=148.5-9+2+3+2=146.5mm
となります。
◆板紙(背)の寸法の計算式は
天地=本文の天地+上部チリ3mm+下部チリ3mm
幅 =本文の厚さ+表表紙の板紙の厚さ+裏表紙の板紙の厚さ
です。なので、今回の数値を代入すると、
天地=210+3+3=216mm
幅=6+2+2=10mm
となります。
◆表紙の寸法は図を書いて決定します。
机の上に表紙を広げ、図のように板紙を置きます。

溝の幅はそれぞれ9mmとします。
板紙のアウトラインから20~30ミリ程度外に広げたサイズが表紙のサイズです。今回は20ミリとしました。
図から寸法を計算すると、
天地=20+216+20=256mm
幅=20+146.5+9+10+9+146.5+20=361mm
となります。
これで必要な寸法が揃いました。
外側はlesson5と同じ方法で作ってみてください。
次のページから本文束の作り方を解説していきます。
【本文束の作り方】
①本文用紙と見返しを折る。半分に折って重ねたら、背中の部分に軽く水を塗り、重しを乗せてしばらく置いておきます。

②最初と最後に見返しの紙を貼り付けます。見返しのノド部分2mmだけに生ボンドを塗り、本文束の最初と最後に貼り付けます。ノドの2mm以外を汚さないためにクッキングシートをかぶせておくと良いでしょう。

③紙をさばいて(※)、背の部分を机にトントンと机に当て、紙を揃えます。※学校の先生がプリント配る時みたいにパラパラっとして、紙を1枚1枚分離させること

④きれいに揃ったら、背に近い部分をクリップで挟みます。

⑤立てた状態で安定しておけるようにします。僕は、厚手の辞書を積み重ねて両側から挟んで立てています。
⑥背の部分にのこぎりで傷をつけます。こうやって紙を少し荒らした方が、糊が浸透しやすくなるからです。イメージとしては、出っ張っている部分を削る感じです。

⑦3か所か4か所くらい、図のように深さ1mmくらいの溝を作ります。今回は4か所溝を作りました。

⑧背に生ボンドを塗ります。溝の中にもしっかりボンドを入れましょう。

⑨ボンドが付いた面をクッキングシートの上でトントンと押し当てボンドを馴染ませます。

⑩クッキングシートの上でぐりぐりと動かすのも有効です。

⑪もう一度生ボンドを塗り、ほどいた麻ひもを、溝に入れます。

⑫麻ひもを覆うようにもう一度生ボンドを塗ります。

⑬その上に寒冷紗をかぶせ、もう一度生ボンドを塗ります。寒冷紗の目の中にもしっかり塗りこみましょう。

⑭さらにその上から、クラフト紙を貼ります。この紙を背紙と呼びます。背紙の上からしっかりと擦りつけ密着させます。

⑮クッキングシートをかぶせ、よく擦ります。ここまで出来たらクリップを外します。

⑯クッキングシートをかぶせたまま、横に寝かせ、重しを乗せて乾燥させます。この時に、本文の束の形がいびつにならないように注意してください。そのまま一晩おいたら内側ユニットの出来上がりです。その後、lesson5(P.41)と同じ手順で外側のユニットと合体させれば完成です。

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[ ZINE作家によるZINE作家のための製本術・目次]◆はじめに
◆lesson5:「かんたん糸とじ本」をハードカバーにしてみよう
◆おわりに
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