この製本講座を何から始めようかなと色々考えた結果、「おりがみ」本というものから始めてみることにしました。「おりがみ本」というのは、いま僕が適当につけた名称で、世間一般では通用しませんのでご注意ください。僕なりの意味としては、1枚の紙を折るだけで作れる本のことです。例えばコピー用紙を半分に折ったものです。これだけで4ページのZINEが完成します。これからZINE制作を始めたいと思っている方にまずおすすめなのは、そのような「A4コピー用紙1枚を半分に折った4ページのZINE」を作ってみることです。特別な道具は必要ありません。紙とペンで原稿を書き、コンビニへ持って行って両面コピーすれば、誰でもすぐに作れます。このレッスンでは、製本の世界への入り口として、まずは「本を1冊作る」という体験をしてみましょう。
さて、さっそくですが手元に何か「紙」をご用意ください。この後の工程のことを考えると無地の紙だと都合がいいです。もし無地の紙が手元になければ、いらないチラシでも、ブックカバーでも、なんでもよいので家のどこかに紙がないか探してみてください。
唐突な質問で恐縮ですが、それはどんな紙ですか?
ざらざらしていますか? それともツルツルしていますか? 大きさはどのくらいでしょう? 紙の名前は分かりますか? どんな匂いがしますか? 硬さ、柔らかさ、重さ、厚さなどはどうでしょうか? 表と裏で何か違いはありますか? どのような色をしていますか? 白いですか? 白であれば、その白はどのような白でしょうか? 冷たい感じがする、温かみがある、柔らかそう――もしよかったら少しだけ、紙に触れて、その紙から受ける印象を言葉にしてみてください。でも、急にそんなことを言われても……と困ってしまいますよね。確かに1種類の紙だけだと、どうと言われてもなかなか言葉が出てこないかもしれません。そんな時は、この文章が書かれているこの紙と比較してみてください。この紙よりも薄いですか? 厚いですか? 手触りはどんな風に違いますか?
プロフェッショナルな方々であれば、それがどんな紙なのか、どんな厚さ、重さの紙なのか、紙の名前やどのメーカーが作っているものなのか、価格はいくらなのか、印刷するとどんな風になるのか――みたいなことが一瞬にして頭の中を駆け巡るのだろうと思います。
僕の場合はどうかというと、正直にいうと、紙についての詳しいことは全然わかりません。でも興味はあります。もっと勉強したいな、とも思っています。なかなか時間を取れていませんが……。僕は学生時代からずっと絵を描いていたので、製本を始める前から、周りの人と比べれば多少は紙というものに興味を持っていたのではないかと思います。でも、自分で製本をするようになってからは全く異なる解像度で紙を見るようになったと思います。
本というのは、たいていの場合、複数の種類の紙が組み合わされて作られています。ちなみに本書は目に見える部分で3種類、見えない部分に使われているものを含めると6種類の紙が使われています。それぞれの紙にはそれぞれのテクスチャがあります。どんな紙をどんな風に組み合わせるかで、本の印象は大きく変わってくるのが面白いところです。製本の世界に足を踏み入れるということは、同時に紙の世界に足を踏み入れることでもあると僕は思います。身の周りにある紙製品を見ると、「むむ、この紙は……」なんて言う風に世界の見え方が全く変わってしまうかもしれません。
でも、このレッスン1では、1種類の紙しか使いません。
いま、あなたが家の中から探してきた紙を使って、最初の一冊を作ってみましょう。一体どんな本に仕上がるのでしょうか?
それでは初めての本づくりを始めます。手元にある紙を半分に折ってみてください。あなたの手元にある紙がどんな形の紙を手にしているのか分からないのですが、どうなんでしょう? 四角い紙を持っていると思っていいんでしょうか……。まぁ、いろんなパターンがあると思いますが、各々自分の紙に当てはめて考えてみてください。僕はまぁ無難に白紙のコピー用紙で作ってみることにします。ぜひ一緒に作ってみてください。
①紙を半分に折ります。

②右側が開いていて、左側が折り目になるように紙を置きます。
③そこを表紙とします。大きく1とページ番号を書いてください。
④ページを開いてそこに2,3とページ数を書いてください。

⑤さらにページをめくり、4と書いてください。

これで完成です。
これで1冊できちゃいました。
というと、何だかあまりにも何か馬鹿馬鹿しいように感じられてしまうかもしれません。でも、そんなことは全然ありません。こんな単純なことからでも、実は色々なことが学べるのです。
この4ページZINEをひとつの単位をとして作り溜めておけば、将来的にそれらをまとめて1冊の本とすることもできます。たった1枚の紙、4ページといえど、どんな紙を使うか、どんな折り方をするか、どのように中身を構成するか――を考え始めると、たった4ページでもなかなか奥が深いものです。
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[ ZINE作家によるZINE作家のための製本術・目次]◆はじめに
◆lesson5:「かんたん糸とじ本」をハードカバーにしてみよう
◆おわりに
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