この度は「ZINE作家によるZINE作家のための製本術」を手に取っていただき、ありがとうございます。

この本は「これから手製本によるZINE制作に取り組んでみたい!」と考えている方に向けての製本術の教科書です。特別な道具なしで作れる「おりがみ本」(僕の造語)からスタートして、製本用ホチキスを買えば手軽に作れる「ホチキス本」、そして、その応用として針と糸で綴じる「かんたん糸綴じ本」、最後には「ハードカバー本」の作り方を紹介しています。製本について何も知らない方であっても、この本を読めばそれらの本を作れるようになる、製本の世界への「はじめの一歩」となるような教科書をつくりたいと思います。
なんて書くと、まるで僕が製本について、たいへん造詣の深い人物であるかのようですが、最初にその誤解を解いておく必要があります。
僕は製本に関して特に専門的な知識があるわけではありません。製本の仕事をしたこともなければ、誰かに習ったこともなく、製本に関する知識はほとんどが本やネット上の動画で得たもの、あるいは実際に手を動かして製本する中で学んだものです。なので、この本の中で紹介する内容は、もしかしたらプロの方々から見れば簡略化されていたり、厳密には正しくない部分が含まれているかもしれません。それを最初にご了承いただきたいと思います。しっかりとした体系的な製本の知識を得たいと考えている方にはこの本はおすすめしません。そのような方には『美篶堂とつくる美しい手製本 本づくりの教科書12のレッスン』という本をおすすめします。
正直にいうと、僕のような素人がこのような本を書くことに少し抵抗がありました。今もあります。けれど、僕はZINE制作者の目線からこの本を作ってみることにしました。その理由を一言で書くなら、製本術を学ぶことでZINE制作者はもっと自由になれる、と思うからです。ZINEを作っていると、完成度や正しさよりも、「とりあえず作ってみること」や、「自分の手で形にすること」が何より大切に思える瞬間があります。製本に関しても同じで、完璧なやり方を知ることより、「自分にできるやり方を知ること」の方が、ZINE制作においては重要なのではないかと、僕は考えています。
そもそもZINEというもの自体が、とても自由で不完全であることを許容する表現活動だと思います。ZINE販売会の会場に行くと、強く惹かれるものもあれば、正直よく分からないものもある。けれど、それらが同じ空間に、同じ熱量で並んでいる。その玉石混交の状態そのものが、ZINEの魅力なのではないでしょうか。上手であることや、洗練されていること、正解であることとは少し違う価値観が、ZINEの世界には確かに存在しているように感じます。
製本術は、そうした自由を支えるための手段のひとつだと思います。製本の選択肢が少し増えるだけで、ZINEの形や表現の幅は驚くほど広がります。難しい技術を身につけなくても、特別な道具をそろえなくても、できることはたくさんあります。この本では、ZINE制作者が「自分の作品にちょうどいい製本」を見つけるための、実際的な方法を紹介しています。
作り手の人柄や個性が、そのまま形になったようなZINEが、僕は好きです。この本が、そうしたZINEをこの世界に一冊でも多く生み出すきっかけになれば、とても嬉しく思います。
2026年1月 JUNOTA
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[ ZINE作家によるZINE作家のための製本術・目次]◆はじめに
◆lesson5:「かんたん糸とじ本」をハードカバーにしてみよう
◆おわりに
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