短歌まとめ2024

沈黙が染み込んでいる硝子窓濡れた路面に伸びる赤色

みかちゃんはつぐはるのとこいてあげてりんごんなってもぼくがでるから

君と見た孤独な空に打ち上げたロケット花火の火薬の香り

通話終えある日のことを思い出すじっと見つめる灰色の空

枇杷の実を求めて僕は木にのぼる目があったのは茶色い毛虫

河川敷飾り持ち寄り火を点ける竹の葉揺れて煙はのぼる

背の高いスタンドライトに猫のぼるそれをそのまま隣の部屋へ

幼少の頃に遊んだ公園の遊具にのぼると意外と高い

洪水の後の静けさ穏やかさ水面描くシスレーの筆

さらさらと砂糖を瓶に移し替えシャーベットつくる日曜の午後

ふわふわと花粉が宙を舞っている眠くて痒い春のはじまり

眠るとき瞼の裏に浮かぶのはシャガールの描く少女の姿

今日の空セルリアンブルーに黄色を少し南の風がのぼりを揺らす

山羊たちが飛び跳ね叫ぶ囲いにて二匹の羊は黙って寄り添う

町中をサイレン鳴らしてパトカーが行くプレリードッグはみな立ち上がる

灰色の大きな部屋に椅子ひとつ流しの食器は洗わずに寝る

雨上がり木の葉の上に水滴光る絵の具をしぼり筆を手に取る

雨のあと鍬を片手に畑で過ごすどこから来たの花びら一枚

こんなとこにも生えていたのか桜の木いつもの道の違った景色

長靴に踏まれたあとの水溜り薄桃色の花動きおり

少年はしるしのような朝食をとり空腹のまま今日も出かける

お茶の葉を集めてできた衣着たミノムシ一匹窓の外には

悩みつつ白く潰した大作が朝日を返し目の奥を射す

木陰には小さな花が咲いているその花の名は思い出せない

雨降るとその日は家から出なくてもいい気がするのでもっと雨ふれ

夏雲の白さをここに描くにはもっと白くて大きな紙が欲しいな

暗やみに蛍の光が交差する明かりを消してあの日を思う

あの時にやめておいたら良かったものをそうは言ってもまた夏が来る

今年こそちゃんと面倒見るんだと意気込んでたのに雑草の海

待合の水槽のなか魚らはクラシック音楽たいくつに聞く

夏やすみ熱い路面に水をまき沸き立つ匂いはプールサイド

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