はじめに
この記事では、360度イラスト(全天球イラスト)の制作方法を解説しています。
360度イラストは、通常のイラストのように一方向から見るだけではなく、視点をぐるぐる回しながら、上下左右すべての方向を見ることができるイラストです。
VR空間の背景や360度動画などにも使われる表現ですが、一般的なお絵描きソフトで一から制作しようとすると、独特の歪みを考えながら描く必要があります。
そこで今回は、360度空間を見回しながら直接絵を描ける無料ツール「ぐるりペイント」を使って、気軽に360度イラストを作る方法をご紹介します。
360度イラストとは
360度イラストとは、自分の周囲をぐるりと取り囲むように見ることができるイラストです。
「全天球イラスト」「360度パノラマイラスト」などと呼ばれることもあります。
通常のイラストは、長方形の画面の中に一つの場面を描きます。
それに対して360度イラストでは、正面だけではなく、
- 右
- 左
- 後ろ
- 上
- 下
まで含めた空間全体を描きます。
完成した画像を360度ビューアーで表示すると、マウスやスマートフォンを操作して、絵の中を自由に見回すことができます。
たとえば、正面に家を描き、後ろに森を描き、空を見上げると雲があり、足元には道が続いている、といった一つの空間を作ることができます。
360度イラストの画像は「2:1」
360度イラストでは、多くの場合、横幅が縦幅の2倍になった長方形の画像を使用します。

たとえば、
- 2048 × 1024px
- 4096 × 2048px
といったサイズです。
この形式は「正距円筒図法」や「Equirectangular(エクイレクタングラー)」と呼ばれます。
地球儀を世界地図として長方形に広げたものを想像すると分かりやすいかもしれません。
この長方形の画像を球体の内側に貼り付け、その中心から見ることで、360度空間として表示します。
普通のお絵描きソフトで描くのは少し難しい
360度イラスト自体は、PhotoshopやCLIP STUDIO PAINTなどの一般的なペイントソフトでも制作できます。
ただし、2:1画像をそのまま見ながら描く場合には注意が必要です。
特に画像の上端と下端は、360度空間では頭上と足元に相当するため、大きく引き伸ばされたような形になります。
また、画像の左端と右端は360度空間では同じ場所につながります。
そのため、
「普通に描いたら360度表示したときに歪んでしまった」
「画像の左右がうまくつながらない」
といった問題が起こります。
▼普通のペイントソフトで描く際には、こちらのテンプレートが参考になりそうです。
ですが、この独特の歪みを考えながら長方形の画像を描くのは、慣れていないとなかなか大変です。
そこで、今回紹介したいのが、360度表示された状態を確認しながら直接描いてしまう、という方法です。
具体的には「ぐるりペイント」というツールを使った方法です。
■「ぐるりペイント」を使って描いてみよう
「ぐるりペイント」は、ブラウザ上で360度空間に直接絵を描くことができる無料のお絵描きツールです。
一般的な360度イラスト制作では、2:1の長方形画像を編集しながら360度ビューアーで確認する、という作業が必要になります。
ぐるりペイントでは、最初から360度空間を見回しながら描けるため、360度イラストを初めて作る人でも比較的直感的に制作できます。
以下、ぐるりペイントの具体的な操作方法を解説していきます。
1.ぐるりペイントを開く
まず、ぐるりペイントを開きます。
ブラウザからそのまま使えるため、ソフトをインストールする必要はありません。
トップページの黒いボタン、「はじめる」を押すと、360度の編集画面が表示されます。

2.360度空間に絵を描く
基本的な描き方は、一般的なお絵描きソフトとほとんど同じです。
ペンツールを選択して、画面上をドラッグすると線を描くことができます。
現在は、
- ペン
- 消しゴム
- バケツ
- スポイト
- 手のひら
などの基本的なツールを使用できます。
(より高度な描画機能を備えた製品版を現在開発中です。)
レイヤーを追加して描き分けることもできます。
大きな特徴は、描いている途中で自由に周囲を見回せることです。
PCではカメラを回転しながら、自分の後ろ側や頭上、足元まで描いていくことができます。
通常のキャンバスを描くというよりも、
「自分の周囲にある空間を作っていく」
という感覚に近いと思います。
三点透視図法的に描き続ける必要があるので、慣れるまで少し時間が掛かるかもしれませんが、慣れてしまえば、さくさく描いていけると思います!
3.360度すべての方向を描いてみる
最初から複雑な作品を作る必要はありません。
たとえば、
- 地面を描く
- 空を描く
- 正面に木を描く
- 後ろに家を描く
といった簡単なものから試してみるのがおすすめです。
正面を描いたらカメラを回転させて、その続きを描いていきます。
普通のイラストでは画面の外だった場所にも絵が続いているため、描き進めていくと徐々に一つの空間になっていきます。
ぐるりペイントの良いところは、左右の境界をあまり意識せず描けるところです。
2:1画像を直接編集する場合、画像の左端と右端がきれいにつながるように描く必要があります。
ぐるりペイントでは360度空間上で描画するため、つながりを確認しながら制作できます。
4.PNG画像として保存する
作品が完成したら、2:1のPNG画像として保存できます。
(ファイル→PNG保存からデータをダウンロードできます。)

書き出された画像だけを見ると、大きく歪んだ不思議な絵に見える部分があります。

しかし、この画像を360度ビューアーで表示すると、本来の360度空間として見ることができます。
この2:1画像を保存しておけば、360度画像に対応した他のサービスやソフトでも利用できます。
また、ぐるりペイントでは制作データを .gururi 形式で保存することもできます。
後から続きを描きたい場合には、PNGだけでなく制作データも保存しておくことをおすすめします。
■360度イラストを体験してみよう
360度イラストは、2:1の長方形画像をそのまま見ただけでは、なかなか完成形をイメージできません。
実際に360度ビューアーを操作してみると、どのような表現なのか分かりやすくなります。
ここでは、360度イラストを体験できる方法をいくつか紹介します。
・ぐるりうむ
「ぐるりうむ」では、ぐるりペイントで制作された360度作品を見ることができます。
作品を開いたあと、画面をドラッグすると周囲を見回すことができます。
通常のイラスト投稿サイトでは、一枚の画像全体を一度に見ることができます。
360度イラストの場合はそうではありません。
最初に見えているのは作品の一部分だけで、画面を動かすことで少しずつ別の場所が見えてきます。
そのため、
「後ろには何があるのだろう」
「空を見上げたら何があるのだろう」
という、普通のイラストとは少し違った鑑賞方法ができます。
これから360度イラストを描いてみたい方は、まずいくつかの作品を実際に動かしてみると、空間の作り方をイメージしやすいと思います。
・YouTubeの360度動画
YouTubeにも360度動画を投稿することができます。
360度カメラで撮影した実写映像だけではなく、CGやイラストを使った360度動画も公開されています。
PCでは動画をドラッグしながら周囲を見ることができ、スマートフォンでは端末の向きに合わせて視点を動かせる動画もあります。
360度イラストをアニメーションさせれば、このような360度動画として発展させることもできます。
ぐるりペイントダウンロード版では、アニメーション機能を使えます。
無料ですので、そちらもぜひお試しください。
静止画として作品を鑑賞するだけでなく、
- キャラクターを動かす
- 景色を変化させる
- 360度空間を使ったMVを作る
- 物語のある映像作品を作る
といった表現も考えられます。
360度イラストを描いてみて、「もっと動かしてみたい」と感じたら、360度動画も見てみると参考になると思います。
まとめ
今回は、360度イラスト(全天球イラスト)の描き方について紹介しました。
360度イラストは、一般的なお絵描きソフトでも制作できます。
一方で、2:1の長方形画像には独特の歪みがあり、特に頭上や足元、左右のつなぎ目などを意識しながら描く必要があります。
初めて360度イラストを描くのであれば、まずはぐるりペイントを使って360度空間をそのまま見ながら描いてみると、仕組みを理解しやすいと思います。
ぐるりペイントは無料で使えるので、興味がある方は、まず一本線を描いてカメラをぐるりと回してみてください。
普通の四角いキャンバスとは少し違う、「絵の中に入って描く」ような感覚を体験できると思います。
ぐるりペイントはJUNOTAが個人で開発しています!
【ぐるりペイント】の開発を応援してくださる方!
以下のことのどれかをしてくれたら、めちゃくちゃ嬉しいです!
①ぐるりペイントを使って作品を作る!
②ぐるりうむに作品を投稿!
③ぐるりペイント公式ツイッターをフォロー&いいね&RT!
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⑦気が向いたらnoteから寄付!(本当に気が向いたらでいいです!)

