自家印刷・手製本の大型ZINEの作り方② : 本の企画を練る

どうもJUNOTAです。
前回の記事では、僕が自家印刷・手製本で作った大型のZINE『暮らしの実景』がどんな本なのかをご紹介しました。

今回から何度かに分けて、『暮らしの実景』がどのようなプロセスを経て完成したのかを、できるだけ詳しく書いていきたいと思います。

これから自分で本やZINEを作りたいと考えている方の参考になれば嬉しいです。

『暮らしの実景』に”企画”はなかった・・・

さて、今回の記事のテーマは本づくりの第一歩である”企画”です。企画というのは、誰に向けて、どんな内容を、どのような形の本にまとめるのか、予算はいくらか、いくらで販売するか――といった事柄を一つひとつ決めていく工程です。

本を作ろうとする場合、たいていの場合にはこの”企画”という段階で、市場の調査をしたり、類似する本について調べたり、してから企画書を練ることになると思います。

でも僕が作った『暮らしの実景』に”企画”という工程はありませんでした。

2021年ごろから、僕は自分の住んでいる身の周りの風景を絵に描いたり、日々の暮らしで起こった事や思った事を文章に書きつけていました。その文章や絵を本の形にまとめたのが『暮らしの実景』なのですが、そこに入っている絵や文章は、そもそも本を作るために書いたものではありませんでした。

どちらかというと、その頃の僕にとって大切だったのは、「日々の暮らしの中に絵を描いたり、文章を書く時間を持つ」ということでした。本にしたいとか、良い絵、良い文章を書きたいとかいう気持ちというよりも、そうした制作の時間を日常の中に取り込みたいという気持ちの方が強かったです。

僕は10代のころに絵を描いたり文章を書いたりしていたのですが、大学生になってからはそのようなことからは離れてしまっていました。

30歳の直前になってから、もう一度、10代の頃にやっていたように物を作ることを日常の中に取り戻したいという気持ちになっていました。

そんな風に思うようになったのは、たぶん、岐阜の自然豊かな里山に引っ越してきたからだと思います。美しい風景に引き寄せられるようにして、僕は絵を描いたり、文章を書くようになりました。

絵を描く時間と文章を書く時間を、だいたい毎日1時間くらいずつ設けるようにしました。書くことがないなぁという時や、気分が乗らないときにも、とりあえず、机の前に座って制作をしました。

『暮らしの実景』の第2部「どこから読んでも どこで終えても」というひとつながりの長ーい文章がそうして出来上がったものです。

その文章はこんな風に終わります。少し長くなるけれど引用します。

「手製本」という技術のことを知った。「本を贈る」(三輪舎)という本の中で笠井留美子さんの文章を読んだのがきっかけだ。手で本を作る技術のことをルリユールと呼ぶらしい。本を自分で作れる、そんなことそれまで僕は思いもしなかった。さっそく図書館で手製本の方法について書かれた本をいくつか借りてきてやってみた。糸を使って縫っていく本や「角背上製本」というハードカバーの本なども作ってみた。本当にできた。自分にも本がつくれる。僕は絵を描くのが好きだし、本を読むのも好きだし、文章を書くのも結構好きだけれど、それらと向き合いながらいつも自分がつくりたいのはもっと違う「何か」なんじゃないかという気がしていた。その「何か」がなんなのかそのときわかったような気がした。それは「本」だったのだ。いや、まだ正直に言うとよくわからない。本なのかもしれない、そんな感じ。

『暮らしの実景』JUNOTA 2025 p.229-230

久しぶりに自分で自分の文章を読み返しました。不思議な感覚になります

読んでいただくと分かるかと思いますが、この文章のなかで、僕は本を作るというアイデアを思いつくわけです。なので、ここに至る前までは、本をつくるつもりではなかったということになります。この文章は、大体300ページの本のうちの230ページくらいのところに書かれています。この本の2/3くらいの文章はいわば”企画なし”の状態で書かれていることになります。


いや、でも頭のどこかではうっすらと本にしたいという気持ちはあったような気もします。でも、それは、印刷や製本をどこかに外注することを前提にしたもので、結局僕が取り組むような自主制作の本(ZINE)のようなものではありませんでした。いつか本にできたらいいなぁ、でも無理なんだろうなぁ――みたいな感じです。

自分で書いて、自分で本にする、そういうアイデアはこの時に生まれたものと言ってよいと思います。

この本を作った後も僕はアニメーションを描いてみたり、漫画を描いてみたり色々やってみましたが、やっぱり「本」というものは今後も続けていけそうだと感じています。


さて、話を本題である”企画”に戻したいと思います。つまり、僕がここで何を言いたいのかというと、つまり、「企画がなくても本(ZINE)は作れる」ということです。ただし、売れるかどうかは分かりません。(もっとも、売れるかどうか分からないのは、綿密に企画を練ってから本づくりに取り組んだ場合でも同じことではありますが・・・)

商業出版では、「企画がない」ということは普通ないことだと思うので、企画を練るということが、本が全く売れない、という状況を避けるのに一定の効果を上げるということなのでしょう。商業出版であれば、企画がないと本にならない、でも自費出版であるZINEは違います。

ZINEだったら、自分が作りたいと思いさえすれば、それを本にすることができます。企画を練るとか、下調べをするとか、そういう工程をすっ飛ばして、最初から書きたいことを書きたいように書き始めて、ある程度の文章が溜まったら、それを好きな形にすればいい。その結果売れても売れなくても、自分が作りたいものがこの世に生まれ落ちたのだとすれば、それでいい、ZINE制作というのはそういう世界だと僕は思っています。売れるか売れないか、わかんないけど、自分が作りたいから作ってる。という感じ。ZINE制作のその感じに、僕はとても惹かれます。

マーケティングというのは、ビジネスをしていく上で大事なものだと思うけれど、物をつくる時には、それは結構厄介な代物だという気がします。ビジネスとしてやるのであれば、売れなくてもいい、とはやっぱり言えないので、マーケティングする必要があるということは分かるのですが、でも時には、そのマーケティング、企画を練るという過程で、その人が作るものの輝きが失われてしまうということは、ないことではないだろうと僕には感じられます。

でもZINEとして、全部自分でお金を出して、自分の責任で作るのであれば、売れなくたっていい、赤字になったって構わないと胸を張って言うことができます。だって自分が作りたいものを作ったのだもの。これは僕の個人的な感想ですが、僕がZINEに惹かれるのはそういう風にして生まれているものが割と多くあるかもしれません(もしかしたらZINEの殆どがそうかもしれません)

おそらく、「本の作り方」を解説しているものの多くは最初に企画を練りましょうと言ってくるのではないかと思います。でも、ことZINEに関しては、企画なんて考えるよりも、とりあえず文章を書き始めてみることを僕はおススメしたいです。

とりあえず、書きたいことをどんどん書いていって、ある程度の文章が溜まってから、それを材料にしてどんな本を編むことができるか? こういうテーマで並び替えてみればこんな感じの本が出来上がるかも? という流れで進めてみるといいのではないかと思います。

つまり、僕が言っているのは「企画→執筆」ではなくて、「執筆→企画」という順番です。毎日毎日たくさん書いていれば、自然とそこに共通するテーマが浮かび上がってくると思います。そのテーマを掬い取るようにして編集作業を進めていけばいいのだと僕は思います。少なくとも初めてのZINE制作はそんな感じで1冊、とりあえず形にしてみると、自然と、次はああしよう、今度はこんなの作ろう、と自然とアイデアが湧いてくると思います。

そんな風にしてできた本は、たくさんは売れないかもしれないし、本としての一貫性が乏しくなるかもしれません。でも、そういう粗削りさというのか、生の感じというのか、リアル感みたいなものに魅力を感じているのはきっと、僕だけではないだろうと思います。

なんかよくわかんないけど本ができちゃった、勢いで作っちゃった、みたいなZINEが1冊でも多く、この世界に生まれてほしいなぁと僕は願っています。

さっそく、あなたも今日からZINE制作を始めてみましょう~
完成したら見せてください~。

では、また次の記事で!
2025.08.20JUNOTA


今日も今日とて僕は草を刈ります

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

JUNOTAは岐阜県の恵那市で絵を描いたり、文章を書いたり、木工をしたり、お米を育てたりしながら暮らしています。制作したものはZINE(自主制作の小冊子)という形でまとめて発表しています。こちらの記事にこれまでの制作物をまとめていますので、良かったらご覧くださいませ~。

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